マイコトキシンとは?

マイコトキシン(カビ毒)について


マイコトキシン(Mycotoxins,カビ毒,真菌毒)とは,カビの代謝生産物であって人間あるいは動物に何らかの疾病あるいは異常な生理作用を誘発する物質群をいう。抗生物質とは,主として微生物に対してその生育あるいは生存を阻害する物質群に対して名づけられ,抗生物質と同じようなカビの第2次生産物であるマイコトキシンは、主として微生物より高等な生物,具体的には家畜家禽や人間に急性あるいは慢性の障害をあたえる物質群について名づけられた総称と考えることもできる。
 もちろん投与量の関係で抗生物質と呼ばれる物質でも高等動物に障害性を示すものは多いし,_特に医薬品として実用に供せられるまでの安全性試験の段階で動物に対する強い毒性のゆえにふるい落される抗生物質はさらにその数が多い。一方いわゆるマイコトキシンと呼ばれる物質でもその大部分は微生物に対する抗菌性を示し,その性質を利用してマイコトキシンの生物試験を行なう場合もある。

 このように抗生物質とマイコトキシンとは不即不離な関係にある。広い意味で「生物に対し障害性を示すカビの代謝生産物」と考えれば抗生物質も一種のマイコトキシンとも考えられる。しかしながら,そのそもそもの発見および研究や開発利用の歴史的背景において,抗生物質はその目的を人間や家畜の疾病治療において発展してきたものであり,マイコトキシンは人間や家畜の中毒特に食中毒発生を端緒として発見され研究が展開してきた点でいささか趣きを異にしているといえる。すなわちマイコトキシンの場合には「食(食糧,食品,飼料)」との関連においてとらえられ, そしてその物質の人間や家畜に対する障害性が論議されるべき性質のものである。

アフラトキシンについて

●アフラトキシンは、アスペルギルス属のカビのアスペルギルスフラブスまたはアスペルギルスバラジティカスと いう菌株が産生するカビです。 アフラトキシンの種類とし ては、B1,B2,G1,G2があり、この中でもB1の 発ガン性が最も 強いことが分かっています。
●アフラトキシンは動物の肝臓に壊死、肝硬変、またはガンを発生させます。米国における動物実験では、ラット にアフラトキシンを15ppb含んだ飼料を毎日投与したところ、♀は82週、♂は68週で100%発ガンしたという報 告があります。
●アフラトキシンによる人の中毒例は、米国食品医薬品局によれば、1974年にインドで、カビの生えたトウモロコ シを食用に供し、397人が中毒しうち106人が死亡し、また1982年にケニアでは20人が中毒しその12人が死亡し たと報告さ れています。

●アフラトキシンはあらゆる種類の家畜、家禽、げっ歯 類(ネズミ 類)や魚類に対し 肝臓が第1のターゲ  ット臓器となる中毒を起こ させます。
●食品にカビが生えた場合、必ずアフラトキシンが産生 されるわけで はありませんが、可能性はあるわけで すから、このような食品は避けることが賢明です。

アフラトキシンB1の規制から総アフラトキシンの規制へ

 アフラトキシンについては、国内で輸入ピーナッツバターから検出して以来昭和46年よりアフラトキシンB1について10ppb(分析法より)と規制されてきました。 

 国際的には総アフラトキシン(B1,B2,G1,G2の合算値)として規制している国もありまたコーデックス委員会においても総アフラトキシンに係る規制値の設定の動きがあることから、我が国でも平成16年度から汚染実態調査、リスク評価等の検討がなされてきました。

 最終審議として5月18日に薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食品規格部会にて審議され、総アフラトキシンとして規制されるとになり、全食品を対象に規制値が10ppbと決定されました。


 今後、食品衛生分科会への報告、WTOへの通告等が予定されているようです。施行日については未定です。

●主なアフラトキシン産生菌